株式会社わくわくスタディワールド

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応用情報技術者試験(2010年春)

わく☆すた,美月です。
前回の応用情報技術者試験(2009年秋)に続いて,今回の2010年春の応用情報技術者試験についての分析と感じたことを書いていきます。
応用情報技術者試験になって3回目,やっと試験内容は落ち着いてきたかな,と感じてます。
応用情報技術者試験の時に比べて,午前はより試験範囲が広く,午後は選択した問題について深く聞かれる形になった感じです。午後でアルゴリズムやデータベースを避けることができて,得意分野で勝負できる分,受かりやすくなったとは思いますが,問題自体の難易度が下がったわけではありません。
今回の試験の難易度としては,2009年秋と同じくらいかな,と私は感じています。2009年春に比べると難しくはなってます。全体的に,「文章を読んだだけで解ける」問題はあまりなく,ある程度の知識をベースにプラスアルファで考えさせる問題が中心です。
合格率は,2009年春が26.1%,2009年秋が21.4%なので,前回と同じくらいだと推定すると,20%を少し超えるぐらいかな,と予想してます。
それでは,午前,午後の試験別に見ていきます。
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午前試験は,出題80問のうち,テクノロジ系49問,マネジメント系11問,ストラテジ系20問でした。応用情報技術者試験になって3回とも,分野別の問題数は全く一緒なので,今後もこの傾向で行くんじゃないかと思います。
私が解いた感じだと,過去問からの出題が若干減ったかなという印象です。それでも,半分近くは過去問です。最近のだけでなく,かなり古い過去問もいくつかありました。分野別に見ると,前半のテクノロジ系は,過去問の再出題が多く,後半のマネジメント系,ストラテジ系では過去問が少ないからか新問が多いです。
今回感じたこととしては,今までと同じことを聞き方を変えて出す,「類題」が多かったことです。過去問を覚えるだけだと対応できませんが,過去問を理解しておけば同じことを聞いてるので解ける,という問題が,結構いっぱい出てきてました。
今後は,「過去問をそのまま覚える」よりも,ちゃんと理解しつつ学習した方がいいと思います。もちろん,それが本来の勉強の姿ですが。^^;
難易度的には,前回の方が少し難しかったんじゃないかと思います。
易しすぎもせず難しすぎもせず,応用情報技術者試験に妥当な難易度だったように感じています。
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午後試験は,12問中6問選択で,最初の問1,2はどちらか1問,問3~12からは5問選択,という形式でした。
出てきた分野は,以下のとおりです。

●問1,問2 (2問中1問選択)
問1 経営戦略 (企業の経営分析)
問2 プログラミング (アプリケーションで使用するデータ構造とアルゴリズム)

●問3~問12 (10問中5問選択)
問3 戦略立案・コンサルティングの技法 (バランススコアカード)
問4 システムアーキテクチャ (インターネットを介した情報提供システム)
問5 ネットワーク (無線LANの設定)
問6 データベース (販売管理システムで使用するSQL文の検証)
問7 組込みシステム開発 (タクシーの料金メータの設計)
問8 情報システム開発 (ソフトウェアのオブジェクト指向設計)
問9 情報セキュリティ (DNSサーバのセキュリティ対策)
問10 プロジェクトマネジメント (EVM(Earned Value Management))
問11 ITサービスマネジメント (サービスサポート業務のインシデント管理における作業プロセスの改善)
問12 システム監査 (外部委託管理の監査)

まず,必須問題です。
問1は,経営戦略の分野で,経営分析の問題で,キャッシュフロー計算書などの知識がある程度ないと解けない,難しめの問題でした。問2のアルゴリズムは,データ構造が定番の双方向リストで,問題文もわかりやすく,アルゴリズム問題としては易しめの問題でした。
難易度としては,その人の得手不得手にもよると思いますが,一般的には問2の方が易しいと思います。応用情報技術者試験になってからはずっと,アルゴリズムは易しめの問題が出ていて,「アルゴリズムが苦手だから問1」というのはやって欲しくない,という試験センターの意図を感じます。
問1は,前回同様かなり知識が求められる問題で,経営分析やアカウンティングの知識が求められます。また問題文を熟読して,適切な答えを導いていく必要がある問題でした。
逆に問2は,データ構造に双方向リストを用いた,付箋を配置するアプリケーションの問題でした。リスト構造のプログラムでの表現方法が分かっていれば,かなり楽に解ける問題でした。O(オーダー)記法などの知識は必要ですが,ひととおりアルゴリズムについて勉強した人なら,ミスしなければ十分解ける問題でした。
多分平均点でも,問2の方がかなり高くなるんじゃないかな,とも感じています。
選択問題は,テクノロジ系(問4,問5,問6,問8,問9)とそれ以外に分けて考えます。
テクノロジ系は,全体的に,意識して「新しい技術」を出しているような気がします。
問4で負荷分散方式のアルゴリズム,問9のDNSキャッシュポイズニングあたりは,最近現場でよく話題になる技術の出題でした。参考書ベースでの勉強だけだと,手がつけられない問題が多かったと思います。
難易度的には,前回と同じぐらいだと思いますが,ネットワークとセキュリティは,難しめの問題だったように感じています。
それ以外の分野では,各分野の典型的な知識を要求する問題が出題されていました。
問3のBSCでは経営分析の手法などの知識が,問10のプロジェクトマネジメントではEVMがといった感じで,それぞれの分野の基礎知識が必要な問題になっています。特に問10,11,12のマネジメント系で,ある程度知識がないと解けない問題が増えていました。
難易度としては,前回よりも,若干上がったかな,と感じています。特に,マネジメント系の問題が,問題文をきちんと読み込まないと解けない,難易度が高めの問題が多かったように思います。
全体的には,どれを選んでも大きな有利不利はないように,ある程度調整されている印象です。去年の春の試験ではかなり易しかったマネジメント系は難しくなっていますし,どの問題もある程度ちゃんと勉強しないと解けなくなっています。ですので,自分の好きな分野,将来進みたい分野を選んで学習するのが一番いいと思います。
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最後に,次回の試験に向けて。
新試験に変わってから3回実施されたので,大体試験の傾向も見えてきた感じです。過去問3回分がたまったので,実際に解いてみて傾向をつかむというのも,やりやすくなった感じがします。
試験傾向がだんだん変わっていますので,参考書などは,従来と同じような感じのものではなく,新しい試験の傾向を見て大幅に改訂されたものの方がおすすめです。
午前分野の今後の学習としては,応用情報技術者試験の過去問3期分をしっかり理解しながら学習するか,それらを厳選した午前問題集1冊をやるのがいいのかな,と思います。
午後試験では,あらかじめ「自分の進みたい方向性」を考えて,勉強する分野をある程度絞り込むのがいいと思います。本気で勉強する分野を6~8コぐらい決めて,その分野に対して広く深く知識を身につけることがおすすめです。
そのとき,過去問だけだとまだ問題があまりないので,対応する高度系の午後1問題を解いておくのもいいと思います。問5はネットワークスペシャリスト,問6はデータベーススペシャリスト,問7はエンべデッドシステムスペシャリスト,問8はシステムアーキテクト,問9は情報セキュリティスペシャリスト,問10はITサービスマネージャ,問11はプロジェクトマネージャ,問12はシステム監査です。
問1,問3は対応する情報処理技術者試験が実はありません。今回までの内容を見る限り,中小企業診断士の勉強を並行してやる,というのが一番効率的なのかな,と感じています。
今復習するのは,印象が強く残るので,効率的です。次の高度試験にもつながります。
ただ,ずっと頑張り続けていると,伸びきったゴムのようになります。ですので,ひととおり復習して,今回の試験を完全消化したあとは,英気を養う意味でも,他のこともいろいろ楽しみましょう。