株式会社わくわくスタディワールド

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情報セキュリティスペシャリストに向く人,向かない人

情報セキュリティの仕事に向いている人と,情報セキュリティスペシャリストに合格しやすい人,というのは,実は結構似ている気がしています。
本来,それが同じであるのが理想であり,考えてみれば当たり前なのですが,ちょっと,「情報セキュリティ向きな人」という特性を考えてみたいと思います。

情報セキュリティ関連の仕事,例えば,企業の情報セキュリティの方針を決めたり,セキュリティ事故のトラブル解決をしたりする人は,知り合いにも結構いますし,私自身もいろいろやってきています。

その経験から,有能なセキュリティの専門家は,次のような特徴を持っていると考えられます。

・人の話をよく聞く
・文献や標準などをきちんと確認して,正確に読む
・一部の物事にとらわれず,大局的にものを見る
・セキュリティ関連の知識があるだけでなく,日々情報収集を怠らない
・ネットワークやプログラミングなど,技術的な基礎もしっかり学んでいる

逆に,「俺はセキュリティに詳しいんだ」といいつつ,実際の現場だとあんまり役立たなかった人には,次のような人が多かったです。

・思い込みが激しく,人の話を聞かない
・全体ではなく,自分のまわりのことだけ考えて決める
・最新の「用語」を知ってひけらかすけど,使いこなせない
・報告書がきちんと書けない。議事録が正確に書けない。
・わからないことを調べない。思い込みで話して,文献や標準を確認しない。

このあたりの特性って,情報セキュリティスペシャリストの試験では,意外とよく測れているような気がします。

日本語の試験のようになっているのは,ちゃんと組織ごとの特徴をつかんだり,問題文の文章を正確に読めるような力を試しているからなのかな,って感じています。
問題文に合わせて臨機応変に対応する,というのは,状況に合わせた対応が求められる情報セキュリティの仕事とも一致しています。

情報セキュリティスペシャリスト試験を,「情報セキュリティに関する知識を問う試験」だと考えてしまうと,なんだか違う試験のようにも思えてしまうぐらい,この試験は国語力が問われます。
これは,「情報セキュリティの仕事には国語力が必要」なのだと考えるとすっきりします。

情報セキュリティスペシャリストの試験の受かりやすさには,個人差が大きいです。
一見,「セキュリティの勉強」とは関係なさそうなところが合否を分けるので,「知識量」が必ずしも合格率と比例しないところでもあります。

過去問を10年分,一字一句間違わずに覚えても,合格できない人は合格できません。
「情報セキュリティコンサルタント」という肩書きを持っていて知識がすごくても,上から目線で思い込みのアドバイスばかりする人は合格しづらいです。

実際,情報セキュリティの仕事をするのには,膨大な知識を知っていることよりも,組織を円滑にまとめる力の方が大事だったりします。
まとめる時には,人の話をしっかり聞いて理解することが不可欠です。
そんな能力がある人は,情報セキュリティスペシャリスト試験にも受かりやすいんじゃないかと思います。

と,改めて整理してみると,情報セキュリティスペシャリスト試験って,「セキュリティの仕事に向いているかどうかの適性試験」という意味合いも結構あるんじゃないかと考えています。
基本情報技術者試験が,プログラマの適性試験的な意味合いがあるのと同じように,情報セキュリティスペシャリスト試験も,企業のセキュリティ担当の適性試験的な意味合いがあるように思います。

専門家の資格試験なので,それが本来の姿ではあるのですが,誰でも勉強しさえすれば受かるという単純な試験ではないですね。

ですので,この試験に関しては,「何ヶ月で合格できる」というのは個人差が結構大きいのではないかと考えています。
向いている人だったら,3か月あれば十分という気がしますが,人によっては,何年もかかる可能性もあります。
何年もかかっているのだったら,「自分にはこの仕事は向いていない」と判断するのもありかもしれません。少なくとも,この試験には向いていないと思います。

資格試験には,「合格して役立てる」という意味だけでなく,「自分の適性を見極める」という役割もあります。
冷静にうまく試験を活用して,自分の特徴を見極めていきましょう。