株式会社わくわくスタディワールド

株式会社わくわくスタディワールド

試験問題を作る人をイメージする

本日,情報処理技術者試験センターで,「試験委員の募集について」が公表されました。
我こそは,と思われる方は,応募されるのも面白いと思います。
元試験委員,という方には,何人かお目にかかったことがありますが,皆さん,その分野の専門家,という感じのすごい人でした。
こちらに,「募集する専門分野の詳細」がありますが,試験問題は,試験区分別に作るのではなく,分野別に作られます。
ネットワークの専門家が,ネットワークスペシャリストだけではなく,応用情報技術者や基本情報技術者なども含めて問題を作成します。
ですので,応用情報技術者の午後12問は,それぞれ全然別の人,別のグループが作った問題です。
これは模擬試験なんかでも一緒で,基本的にその分野の専門家が,いろんな試験区分の問題を作ります。
ですので,基本情報技術者や応用情報技術者の問題というのは,難易度を抑えつつ本質を突いた,とても教育的な問題が揃っているのです。
最近の応用情報技術者試験のネットワークや情報セキュリティの問題は,かなり新しいテーマが多く,高度区分の勉強にも使えると思います。データベースはデータベーススペシャリストよりもかなり簡単ではありますが,聞いてるテーマは同じなので,正規化とER図が分かってないと解けない問題が多く,これも勉強になります。
そして,試験を受ける上で忘れてはいけないのは,「試験を作る人,採点する人も人間」ということです。
どうしても,試験を受ける側からすると,出された問題を解く,ということだけに意識を集中しがちなのですが,問題を作っている人,というのは必ず存在します。
そして,その人の意図をくんで,答えを返すのが,試験問題を正確に解くということなのです。
情報処理技術者試験委員会」は,ある程度実名が公表されていて,委員の内訳(PDF)で,大体どんな人が試験委員なのかはまとめられています。
これを見ると,一番多いのは,情報サービス業の会社に勤める人,いわゆるSEです。
現役で仕事をやっている人が,夜会合に出かけていったり,時間外に試験問題を作ったりしているのです。
あなたの周りにいる,有能な技術者,そんな感じの人が試験委員だと思っていただくと,イメージしやすいと思います。
もちろん,現場の人ばかりではなくて,教育関連の人たちも結構いたりします。
職種としては,システム設計・開発の人が25.0%で,教育・調査・研究・標準化等を行う人が29.3%です。ですので,今現場バリバリ,というよりは,ちょっと第一線からは退いて落ち着いた人,ぐらいがメインです。
#そうでないと,問題作ってるヒマはないとは思いますが。
試験を解くときには,そんな感じの人をイメージしながら解くと,題意を外さないのでおすすめです。
特に論文系は,「他の会社の,部長クラスのIT専門家」に自分の業務を伝えて評価してもらう,ぐらいのイメージが一番ベストだと思います。
時々,論文内に,自分の会社の人にしか分からない用語を書く人や,逆に初心者の人に分かるように,用語の説明を丁寧に書きすぎる人などがいますが,そのあたりは,ちゃんと読む人をイメージすることで回避できると思います。
情報セキュリティなども,聞かれている意図が読みづらいとき,「この人はなぜ,こんなことを聞こうとしているのか」を考えてみると,題意に合わせやすいです。試験を作った人には,「情報セキュリティスペシャリストとしてふさわしいのはこんな人」という経験から得たイメージがあって,それに合致しているかどうかを聞いているのが試験問題だからです。
どんな試験でもそうですが,試験問題がただ湧いてきた,って思っているよりは,試験を作った人を身近に感じながらの方が,いい点が取れます。
中学校ぐらいの定期テストでは,出題する先生によって傾向が違っていたので,どの先生が出題する,という情報は結構大事で,それに合わせて勉強すると,点数も変わってきました。
それと同じような感じで,試験問題を作る人をイメージしながら,試験問題を解くというのは,実は大切なのです。
試験問題は,出題者と解答者のコミュニケーション。相手のことも良く知っていきましょう。