株式会社わくわくスタディワールド

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情報処理技術者試験・高度区分の人気推移と今後

今年,いろんな場面で,「なんか,ネットワークスペシャリストって人気なくなったなぁ」と感じることが多かったです。
書籍の売り上げなどもそうなのですが,ネットワークスペシャリストの話を聞くこと自体が少なくなった感じです。
企業研修などで,ネットワークスペシャリストと情報セキュリティスペシャリストの講座を同時募集しても,ネットワークスペシャリストだけ規定人数に達せず開講されなかったりといったこともありました。

私自身,情報セキュリティに関する国家資格ができる前から,ネットワークスペシャリスト対策セミナーをやっていますが,この試験ほど時代の流れで受験者が変わってる試験はないんじゃないかな,って感じています。
結構,時代によって,同じ情報処理技術者試験の中でも,人気の資格は変わってきている感じです。

ということで,情報処理技術者試験の高度区分について,平成13年~平成26年までの時代による申込者数の流れをグラフにしてみました。
旧試験は,テクニカルエンジニアは各スペシャリスト及びITサービスマネージャに,システムアナリストはITストラテジストとして集計しています。

受験者の推移13-26

一目瞭然の,他の試験区分が霞むぐらいの,ネットワークスペシャリスト試験の落ち込みが見て取れますね。
ちなみにこれでも落ちかけで,ネットワークスペシャリスト試験の最高の受験者数は,平成12年度秋期の70,880名です。
平成12年(西暦2000年)頃は,ホントにITバブル,というかドットコムバブルで,猫も杓子もインターネット,って感じでした。

それ以外の資格だと,地味に人気が落ち続けているのは,システムアーキテクトです。
特種情報処理技術者→アプリケーションエンジニア→システムアーキテクトと続いてきている,伝統的なSE向けの,一番オーソドックスな試験なのですが,こちらも落ち込みは結構大きいです。

平成13年に24,913名だったのが,平成26年には8,814名となっており,受験者としては3分の1ぐらいになっています。
先ほどのネットワークスペシャリストも,平成13年に60,978名,平成26年には20,220名なので,3分の1という数字はだいたい一緒ですね。

この2つの試験は,受験者として受け続けているだけだとあまり変化は感じないと思いますが,社会的な立ち位置はかなり変わってきています。
昔は,「ネットワークスペシャリストが憧れの資格」だった人も結構いたのですが,今はそういう話はあんまり聞きません。
システムアーキテクトも含め,たくさんある高度試験のうちの一つ,という感じです。

逆に,長い目で見ると申込者数が伸びている試験としては,プロジェクトマネージャ試験があります。
昔はあまり一般的な資格ではなかったのですが,システムアーキテクトやデータベーススペシャリストを追い抜いて,高度区分の申込者数では3番目となっています。
ただ,少し前にブームがあって伸びたことは確かなのですが,平成23年をピークに,最近は減少気味です。

他は全体的に減少気味ではあるのですが,ここ数年で,一番人気が落ちていない,受験者が減っていない試験は情報セキュリティスペシャリストです。
落ちそうで落ちない,というか,平成26年度秋期の試験では唯一,前年よりも受験者数が多かった試験です。

長い目で見ても,情報セキュリティスペシャリスト試験は,受験者はそれほど多くないのですが,安定した受験者数です。
年2回開催されるにもかかわらず,単独の試験で見ても,高度区分では一番受験者の多い区分となっています。

この原因は,今までの推移から考えても,情報セキュリティスペシャリスト試験が一番,「時代の流れに乗っていて,取るとメリットがある」ことが多いからじゃないかと考えています。
企業が取らせたい資格として研修を行うことも多いですし,公共事業の入札条件としても一番よく聞きます。

情報処理技術者試験の高度区分の場合,自分の専門を見極めて,それに関する資格を取っていくのがベストです。
ですので,応用情報技術者試験に合格した後に,どの試験区分を受けるかは,もちろん自由です。

ただ,特に専門的な方向が未定だったり,つぶしが利く勉強がしたい,ということだったら,現在は一番,情報セキュリティスペシャリストが,高度区分の一番手に来る資格ではないかと考えています。
他の試験区分でも,情報セキュリティに関する出題は増えていますし,業務で必要な場面も多いです。
今年のネットワークスペシャリスト試験では,情報セキュリティスペシャリストの勉強をしていたかどうかで,かなり合格のしやすさが変わったのではないかとも考えています。

年が明けたら,1月には春の情報処理技術者試験の申し込み開始です。
中長期的な視点に加えて,「次回は何受けよう」と迷われている時には,少し参考にしていただければと思います。

何がベストか,というのは,時と場合,状況によって変わってきます。
今,何がベストなのかを考えて,進んでいきましょう。